1000字超のテキストをどうやってウェブで読ませるか問題への現時点での答え(後編)

そんな長文の記事は、紙のゲラで読むのもかなり時間がかかる。正直、気合を入れないと読めない。それをウェブで展開する、と言うのだから、「そりゃ無理だろう」という声が出るのも当然のことだ。

 しかし、今回、note上で展開している『文藝春秋digitalでは、本誌の記事をそっくりそのまま展開した。記事タイトルも、基本的には紙の雑誌につけられたものがベースとなっている。

 読者の反応はどうか。まだオープンして1週間ほどしか経っていないが、今のところ「長すぎる」「読みにくい」との声は届いていない。それどころか、「面白かった」「読みやすい文章でよかった」という感想をいただいた。嬉しい限りである。

長文を読ませるために加えたちょっとした工夫

 実は、『文藝春秋digitalをオープンさせるにあたり、ちょっとした工夫を加えた。本文やタイトルではない「見せ方」の部分である。

 これは、noteチームの皆さんや、深津貴之さんからいただいたアドバイスが大変参考になっている。今後、まだ色々な改善点が出てくると思うが、現時点での記録として、今まで試した方策を、ここで共有しておきたい。

(1)画像にアイキャッチ文字となるコピーを入れる 

 記事のトップに来る画像はすべてを物語る。TwitterFacebookなどSNSでシェアされる際も、まずは人々の目はそこに向くので、必ず画像にアイキャッチとなる文字、ロゴを入れることにした。

 

 

入れるキャッチフレーズは、その記事の中で一番エモいと思った言葉を選んでいる(センスがないと思われたら悲しい)。気をつけているポイントは、長くなり過ぎないこと。 

 

2noteの目次機能を活用
 noteならではのオススメ機能と言っていいが、「目次機能」を有効活用した。

 結果的にこれは、『文藝春秋digital』にとっての超大ヒット機能となった。「読みやすいね」と言ってくれた人の大半は、この「目次」がよかったと言う。

 

記事の公開設定で「目次」にチェックを入れるだけで、太字になっている小見出しが「目次」になるわけだ。

 紙版の『文藝春秋』には1ページに1つ、小見出しが入っている。

 この小見出しは元々、活字ばかりの紙面では味気ないのでアイキャッチ的に入れていたのだが、note上では、それが立派な「目次」となった(こうして並べてみると、自画自賛だが、小見出しも担当編集者によって面白そうな文言になっている)。

 この目次があると、順を追って読んでいかなくても、気になる箇所に一気にワープできる。この体験は、紙の雑誌ではできないので、新しい付加価値になっている。もちろん、最初からじっくり読んでいきたい人はワープしないで読んでいただければと思う。

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 ここに書いた3つの工夫は、ウェブで長文を読んでもらうという点においては確実に効果があったと実感している。

 これからも新たな課題が次々と出てくると思う。その都度、改善を加えていくつもりだ。そうやって工夫を加えていくことで、多くの人のウェブでの活字体験が良いものになることを願っている。