BCG接種はコロナに効くのか?

昨日ふらりとテレビを見ていましたら、心理学コメンテーターみたいな方が、「非常時とか困窮時には、人はポジティブな想像をしがち」と言っていました。ピンチの時は、これが効果ある、とか、こうしたほうが良くなる、みたいな意見が出回るということですね。アビガンを投与とか。

 それはそれとして、BCG接種がコロナウィルスに良いんじゃないかという説が出回っています。

 

 

この図のように、明らかにBCG接種している国としていない国では、感染者数が違うわけで、それは間違いないことです。でも、これはBCG接種している国としていない国で感染者数が違うぞってことを言っているだけで、BCG接種すればコロナにかかりにくくなるということを証明しているわけではありません。因果関係が直接あるとは限らないわけです。何なら、左のほうの国は国名が23文字で、右の方の国は国名が47文字と長いじゃないですか。国名が長いほうがコロナにかかりやすくなるのかもしれない!と言っているのと同じです。

 

 

真面目に言えば、BCG接種している国は、こう見ますと、アジア圏が多く、靴を脱ぐ文化がある国に見えますし、また北欧やアメリカなどに比べると平均気温が高いとか、多湿だとか、そういう要素もありそうです。実際は靴を脱ぐ文化の国にBCGを打っている国が多かっただけ、ということかもしれません。

 そもそも国同士で文化が違うわけで、交通網の違いとか、ハグとかキスをするかどうかとか、手を使ってものを食べるのかとか、コロナに対する政策がどうだったとか、そういうBCG以外の要素が多すぎるので、国別で比較するのは無理です。やるなら、せめて同じ国の中で、BCGを打った人と打っていない人に感染率が違ったかどうか、で見るべきでしょう。

 と思っていたらイスラエルの研究があるようです。

 

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2766182

  風邪症状がある人の中で、BCGのワクチン接種を行っている1979-81年生まれの人と、行っていない1983-85年生まれの人を比べて感染率に差があったかどうか調べてみると、差はなかったようです。じゃあやっぱりBCGは関係ないのかな?

 とはいえ、この平均4才という年齢の差が影響したかもしれません。もしくは、風邪症状が無い人まで無作為に調べたら差が出るのかもしれません。

 

私の感覚は、いずれにせよ、BCGは効果が全くないとも言えないけれど、効果があってもほんのわずかなのではないかなあと思いますが、どうでしょうか。少なくとも冒頭の記事の1800倍という謎の数字ほどの効果は絶対ないと思います。非常時はポジティブになりがちなので、理性的な気持ちだけでもポジティブに考えすぎないようにするのも大事かなと思いました。でもポジティブな気持ちがないと元気がなくなってしまうので、今日はめちゃくちゃ美味いハンバーグを食べたいと思います。